間質性膀胱炎について

 間質性膀胱炎は、膀胱に慢性炎症が起こり、排尿回数が多くなる(頻尿)、尿意を強く感じる(尿意亢進)、尿意を我慢することが難しい(尿意切迫感)、膀胱の痛みや不快感を感じるなどの症状を呈する疾患です。原因はよくわかっていません。
 中高年の女性に多い疾患ですが、男性や小児にみられることもあります。

検査・診断

国際的に確立した診断法はありません。わが国では、症状と、膀胱鏡所見(ハンナ病変など)、他の疾患の否定の3要件を診断基準としています。
膀胱鏡でハンナ病変がみられるものは、ハンナ型間質性膀胱炎に分類されます。

正常な膀胱粘膜

ハンナ病変

治療

現在のところ、間質性膀胱炎を完治させる治療法はありません。下記の方法を適宜組み合わせて症状の改善を図ります。

〇 生活指導

過度のストレスや、強い香辛料、強い酢、柑橘類、コーヒー、強いアルコールなどは出来るだけ避けるようにします。

〇 内服治療

鎮痛薬や抗うつ薬、頻尿治療薬が有効なことがあります。

〇 膀胱水圧拡張術・病変の切除・焼灼

麻酔をかけたうえで、膀胱鏡で膀胱内を観察しながら生理食塩水で膀胱を拡張します。病変がある場合は同時に切除・焼灼します。多くの方で症状が改善されますが、半年から一年程度で症状が再燃してくることが多いのが実情です。2010年から保険適応になっています。
間質性膀胱炎は一般的にはあまり認知度が高くない疾患です。そのため、間質性膀胱炎の診断に至らず、難治性膀胱炎として十分な治療を受けていない患者さんもいることと推測されています。当院の間質性膀胱炎外来では豊富な経験を生かして水圧拡張術を積極的に実施しています。

膀胱内薬物注入療法を行っている医療機関がありますが、保険適応となっておらず、当院では行っておりません。

重症のハンナ型間質性膀胱炎は、2015年に難病に指定されました。医療費助成を受けることができます。該当するか知りたい方は担当医にご相談ください。