尿路結石

尿路結石になる患者さんの割合は増加しています。(1965年と比較して2005年には3倍)男性では7人に1人、女性では15人に1人が一生に一度は尿路結石になる計算で、比較的一般的な疾患といえます。

腎臓から尿管(上部尿路)、膀胱から尿道(下部尿路)といった尿の通り道に結石ができるのが尿路結石です。結石が尿管に急につまると背部~側腹部に強い痛みをおこし、血尿がでることもあります。尿の流れが悪くなったところに細菌が感染すると腎盂腎炎をおこし高熱がでることもあります。

一般的に8㎜程度までの結石は自然に排石される可能性があります。1㎝を超える結石や小さくても1ヶ月以上同じ場所から動かない結石は治療対象になります。

治療法

当院では以下の治療法が選択可能で、患者さんの結石の大きさ、硬さ、位置、合併症などを考慮して治療法を決定しています。結石を除去して腎臓の機能を守ることが最終目標ですので、1回の治療で終わることだけにこだわるのではなく、安全第一を心がけています。

1)ESWL(体外衝撃波結石破砕術)

体外で発生させた衝撃波を結石にあてて結石を壊します。痛み止めの坐薬や点滴を使用して、寝た姿勢で行います。時間は1時間程度です。麻酔が不要で患者さんにやさしい治療法です。結石が壊れるかどうかはやってみないとわからない、腎結石では腎被膜下血腫がおこる可能性があるなどの欠点があります。

2)TUL(経尿道的結石破砕術)

麻酔下で尿の出口から内視鏡を挿入し、結石まで到達、レーザーを用いて砕石します。砂状にしてしまうか、ある程度の大きさにしたらバスケットカテーテルを用いて結石を体外に取り出します。結石を直視しますので確実に砕石できるという利点があります。尿管が狭窄、蛇行している場合に結石まで到達できない可能性、2cmを超えるような大きな結石では手術が2回以上必要になる可能性があります。

3)PNL(経皮的結石破砕術)

2㎝を超える腎結石などでおこなわれる方法です。直接、背中から腎臓にむかって内視鏡を入れる経路を作成して砕石します。砕石効率があがるため大きな結石で有効な方法です。血流の豊富な腎臓に穿刺するため、出血が多くなる可能性(輸血の可能性もゼロではありません)などがあり体に与える負担は1)や2)より大きいものになります。結石の大きさ、硬さ、位置によっては2)と3)を同時に行うこともあります。(TAP:TUL-assisted PNL)

再発予防

尿路結石は再発が非常に多い疾患です。再発予防として以下のような生活習慣が勧められています。

1)飲水

やはり薄い尿をだすことが基本です。結石に何度もかかるような方は1日2L以上の水分を目標にするとよいでしょう。こまめにとるのがよいと思われます。またお茶はほうじ茶や麦茶のほうがベターです。(シュウ酸が少ない)

2)カルシウムの適切な摂取

カルシウム結石が多いので、カルシウムを取りすぎるとよくないと思われるかもしれませんが逆です。カルシウムの取り方が少ないと結石ができやすいとされています。日本人はカルシウム摂取が足りない方が多いので注意が必要です。もちろん極端に取りすぎるのもよくありません。

3)シュウ酸、尿酸のとりすぎに注意

シュウ酸は取りすぎないようにする必要があります。コーヒー、紅茶、チョコレート、ホウレンソウなどシュウ酸の多いものを摂取するときはカルシウムを一緒にとるといいとされています。シュウ酸とカルシウムが結合して体内に吸収されにくくなるからです。ブラックコーヒーよりカフェオレ、ホウレンソウはゆでてかつお節やじゃこをかけるなどするとよいと思われます。尿酸も取りすぎないようにしましょう。

4)食事の時間など

夜は結石ができやすい時間帯といわれています。一般的に健康な食事として言われているように、寝る直前にたくさん食べるのは結石予防の観点からも避けた方がよいと思われます。