前立腺肥大症 特にレーザー治療について

前立腺肥大症とは?

 前立腺は男性だけが持っている臓器です。膀胱の出口にあり、精液を作っています。前立腺は、内側部分(内腺)と外側部分(外腺)の2層構造で尿道を取り囲んでいます。この内線が肥大した状態が前立腺肥大症です。成人ではクルミくらいの大きさですが、45歳あたりから少しずつ大きくなっていきます。
 一般的に前立腺の体積が同年齢の平均よりも大きくても心配することはありません。しかし、尿が出るときに、拡がるはずの尿道がよく拡がらなくなることにより、尿の出にくさ(排尿困難)・尿を出し切れない感覚(残尿感)・尿が近い(頻尿)といった排尿症状が出現すると、はじめて問題になります。放置しておくと、お腹に力を入れないと排尿できなくなったり(腹圧排尿)、最悪の場合は尿が出なくて苦しむ(尿閉)こともあります。また、長期間放置すると、膀胱の機能が悪化し、さらに腎臓の機能が低下する恐れもあります。

正常、前立腺肥大症の説明図

前立腺肥大症の薬物療法について

 前立腺肥大症の治療はまず薬物療法を行います。最も良く使われる内服薬は、αブロッカーといって尿道の緊張をとって尿を出しやすくする薬です。また最近はPDE5阻害薬といった前立腺と膀胱の平滑筋を緩め排尿をスムーズにさせる治療薬や、男性ホルモンの代謝を変化させることにより前立腺の体積を縮小させ排尿を改善する薬もあります。

前立腺肥大症の手術

 前立腺肥大症の手術は、内腺の肥大(腺腫)を取り除き、尿道の圧迫を解消します。以前は、前立腺肥大症が巨大な場合、開腹手術により内腺を切除する手術(前立腺核出手術)がありました。この手術は出血のリスクや、お腹に傷がつくので、現在ではあまり実施されなくなりました。現在、スタンダードな手術として実施されているのは、経尿道的前立腺切除術(TUR-P)です。TUR-Pは、尿道から内視鏡を挿入して前立腺の内側(内腺)を電気メスで削り取る方法で、最もポピュラーな手術です。最近ではHoLEPという、ホルミウムレーザーにより前立腺組織をくり抜く手術法も広まってきています。さらに、後述するレーザー手術もあります。
 薬物療法(お薬)で十分に症状が改善しない場合は手術を考慮します。また、一般的に、長期間お薬を内服するよりも手術をした方が医療費の負担が少なくなると言われています。

前立腺レーザー手術について

 レーザー手術は、TUR-Pなど従来の電気メスで切除する方法とは全く異なる、新しい手術方法です。当科で使用しているグリーンライトレーザー(PVP)は前立腺組織を蒸散(組織を一瞬にして蒸発させ気体にして消滅)させ、前立腺肥大の閉塞を解除する方法です。

グリーンライトレーザー(PVP)の特徴

 当科で行なっているグリーンライトレーザーを用いた光選択的前立腺蒸散術(photoselective vaporization of prostate: PVP)は、腺腫を蒸散させながら行うので、出血がほとんどありません。従来スタンダードであった経尿道的前立腺切除術(TUR-P)は、内視鏡に取り付けた電気メスで前立腺組織を切除するため、ある程度の出血を伴いました。PVPでは、輸血や低ナトリウム血症による意識障害などの手術リスク・合併症が、TUR-Pに比べて格段に少なくなります。

グリーンライトレーザーのメリット

  1. 手術中の出血量が少なく体の負担が少ない。
  2. 術後に尿道カテーテルを早く抜くことが可能なため、術後の痛みや不快感が少ない。
  3. 入院期間が短くて済む。
  4. 出血が少ない手術であるため、抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を服用している方も施行可能。
  5. 国民健康保険が適応される。

PSAが高い方へ

 グリーンライトレーザー手術では前立腺組織が蒸発してなくなるため、たとえ前立腺がんがあっても、それを確かめることはできません。そのため、手術前にPSA(前立腺のがんマーカー)が4ng/ml以上と高めの方は、前もって前立腺生検を受けて頂き、前立腺がんがないことを確認してから手術します。

グリーンライトレーザー手術を希望の方へ

 帝京大学医学部附属病院では2012年からグリーンライトレーザーを導入しています。また、PVP研究会に所属し、最新の知見を習得し技術の向上に努めています。合併症のある方や、抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)の服用のため従来の手術を勧められていない方でも、PVP手術が可能かどうかを当科で適切に判断致します。遠慮なく相談していただければと思います。

●PVP研究会ホームページ:AMS GreenLight® HPS 導入施設のご案内